環境汚染を防止策とは?排出規制とピグー税

環境汚染を防止策

大気汚染や地球温暖化は、外部効果の代表的な例である。自動車の生産と消費を考えよう。自動車を買いたいと考える消費者は、自動車を持った場合の自らの満足度(限界効用)で自動車の価格を評価する。一方、生産者である自動車メーカーは、1台増産するごとにどれだけ生産コストがかかるか(限界費用)で価格付けする。市場での競争の結果、自動車の価格と供給量(=需要量)が決まる。

しかし、自動車を使うと排気ガスからSOXやNOXやPM2.5のような大気汚染が起こる。あるいは、CO2の排出が地球温暖化を引き起こす。こうしたマイナス効果は、市場を通じないで人々の満足や生活に悪影響を及ぼす「外部不経済」である。この点も考慮するなら、自動車の使用度(したがって供給・需要)は、そのことを何も考えない消費者や生産者の間から市場で決まる供給・需要量では、社会的にみて過剰なはずである。

つまり、社会的に望ましい自動車の使用度は、市場で決まる量より少なくなければならず、またそのためには、自動車の価格は、社会的な費用を反映して、市場で決まる価格より高くなければならないはずである。それによって、自動車の利用者に大気汚染の費用を負担してもらわなければならない。そこで、政府が自動車保有税やガソリン税を課して、自動車需要をその分抑え、最適な利用度を実現することが考えられる。

ピグー税について

外部効果による資源配分の歪みを是正する目的で導入された税を、このアイデアを考案した経済学者、アーサー・ピグーの名をとって、「ピグー税」と呼ぶ。

自動車グリーン税制

それぞれの例として、自動車税について。自動車税はその所有者に対して、総排気量や最大積載量等に応じて課す地方税である。この自動車税について、環境負荷の小さい自動車には軽課、環境負荷の大きい自動車には重課し、全体として税収中立とすることを意図した税制上の措置が、平成13年に導入された。これは「自動車税のグリーン化」又は「自動車グリーン税制」と呼ばれている。

総務省によると、「自動車税のグリーン化」、議論の出発点は「地球環境に優しいクルマを増やしたい」という。新たな税をスタートさせる場合、「客観的で明確な根拠に基づいたもの」という前提があり、「新車で購入できるクルマより古い基準の排ガスレベルで販売されたクルマに負担してもらおう」ということである。

ただ、闇雲に徴収すると乱用になりかねないので、一定の基準を設けるという意味でその影響や税収の効果など広く検討した結果、「新車登録から11年を超えるクルマ」を基準とし、なかでもガソリン車は所有者が多く影響が大きいことから、営業車利用が多いLPG車と共にプラス2年、すなわち車検1回分の猶予を持たせて13年にしたのである。また、その根拠は「排出ガスの優劣」のみに置かれ、例えば「古いものを大切に使う」といった用件に対する考慮を含んだものではない。

問題意識

私は、自動車税に関しては、エコを建前に、税金をとれるとこから取ってやろうとも受け止められる。例えば、新車登録から11年を超えるクルマと最新のクルマを比較しても、11年前の車のほうの燃費がいいこともあるのであり、一律に増税というのは納得し難いといえる。自動車は10年ごとに買い替えるほうがお得という事になるのである。この税金の導入によって、日本国民の多くが働く、自動車業界を活性化させ、自動車の需要を増やそうとする戦略でもあると思う。新車の販売を促進することがグリーン化税制の目的であると思えるので、環境のための「ピグー税」導入と単純に考えることができない問題であると考える。

参考文献

伊藤元重『ミクロ経済学』日本評論社 2003年

環境税の位置付け – 環境省 https://www.env.go.jp/policy/tax/a050913/r01-1.pdf

古いクルマに乗ることは「罪」なのか?「自動車税のグリーン化」をもう一度考える

http://trafficnews.jp/post/41006/2/